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動きたいのに、 脚が、どうしても動かない。 「……唯?」 ゆっくり近付いて 名前を呼ばれたら、 脚がすくんでしまって 身体はガタガタと震えてくる。 「先輩。なんか用ですか?もう、関係ないですよね!唯、行こう」 リサの言葉が 遠退いていくようで、 段々、息苦しくなって 目の前が真っ白になっていく。 「……唯、顔真っ青だよ。大丈夫?」 気付いたら、その場にうずくまっていた。 「…多分、過呼吸、だと思うから、休んだ方がいいよ」 「……でも…」 「俺が、駅員に言ってくるから」 暫くして、駅員さんが休憩室に案内してくれて 袋を口に当てて息をしてたら、落ち着いてきた。 リサが心配そうに、背中を撫でてくれていた。 「ごめん。俺が、声掛けたから、……もう、帰るよ」 「……待って、下さい」 このままだったら、 ダメな気がして呼び止めていた。 「……大丈夫なの?」 「唯?」 2人は驚いたように、私の顔を見ていた。 でも、さっきまでの息苦しさもなくなって、 自分でも不思議なほど、冷静になっていた。
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