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「おい、柊?」 「唯!」 途切れる意識のなかで ハッキリと聞こえてくる声。 大好きな冬木先生。 大好きな優しい声が、 大好きな優しい香りが ぷっつりとそこで記憶が飛んだ。 でも、不安は感じなくて 安心した自分が居るのが解る。 ふわり優しく浮いた感じがする。 ゆらゆらと、 心地いいあったかさが伝わってくる。 暗いけど不思議と怖くはなかった。 ずーっとこうしてたいと思ってた。 「……大丈夫か?」 「……せん…せぇ」 瞼を開けると、 心配そうな先生が抱きしめてくれる。 「……心配、したんだぞ」 なんで? 冬木先生が泣いてるの? 「……どうして、泣いて…るんですか?」 「泣いてないよ」 そう言いながら抱きしめて離そうとしない。 冬木先生は、いつも見守ってくれていて。 いつも私の辛いときに居てくれる。 なんで、解るんですか? どうして? そんなに辛そうにしてるんですか?
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