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「…ねぇ、唯ちゃん。どうしたの?かなしいの?」 ……びっくりして 翔くんを見ると、先生も見ていて驚いてしまった。 「……ううん、悲しくないよ」 「うそだぁ。泣きそうだもん!」 翔くんは私に抱きつくと、 頭をヨシヨシって、してくれる。 小さい翔くんが一生懸命に手を伸ばして……。 「翔、抱きつくな。お姉ちゃん困ってるだろ?」 先生は翔くんを慌てて引き離して、肩に担いだ。 「暖人ー、降ろせよなー?」 「ウルサイ!ませガキ」 ーーペシッ… と、お尻を叩いてるし。 「やめろよ、痛いってー!」 「ほら。もうおとなしくしろよ?」 「暖人のバーカ!」 降ろされた翔くんは怒って言うと、ジュースを無言で飲み始めた。 「ただいまぁ!……おや?可愛いお客さんじゃないか」 「あっ、おかえりー!はるじいじー」 ……はるじいじ? 見ると、白髪混じりの優しそうな、先生のお父さん? にしては、少し歳が離れすぎてるような? 人がニッコリとこっちを見ていた。
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