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ーー車の中。 冬木先生が少し不機嫌に見える。 お祖父さんが先生のことを 『はる君』 って、呼んでたのを思い出して 私は、ずっと頬が緩みっぱなしだった。 「……柊?笑い過ぎ」 「いえ、笑ってないですよ?」 「笑いながら言うなよ」 ……だって、先生の普段の姿を見れて、嬉しくて……。 「はい!……先生、翔くんて可愛いですね?」 「生意気だけどな」 怒った口調で言うけど、 本当は、きっと可愛くて、 いつも遊んであげてるんだろうな? 冬木先生に少しでも… 近付けた気がして……嬉しい。 嫌なことなんて、 なかったんじゃないかって、気がしてくる。 「……先生?」 「ん、なに?」 ミラー越しに視線が向いたのが 暗いけど、なんとなく解る。 「先生のお祖父さんも、優しそうですね?」 「……碎け過ぎ。だけどな?」 冬木先生が少し笑いながら呟く。
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