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車が停まって
家の近くに着いたけど
急に寂しくなってしまった。
「……そんな顔されたら、帰したくなくなるだろ」
「だって……」
下を向いたまま
どうしても動けなかった。
「……柊、"おまじない"してやる」
「……本当に?」
驚いて呟いた私に
「ふ、本当に」
ゆっくりドアを開けて
後部座席に身体を沈めると……
優しいあったかい腕で
ソッと優しく包んでくれた。
「……先生ぇ、あったかいです」
「もっと、甘えていいからな。全部は聞いてやれないけど、……ごめんな」
冬木先生の切ない声が
鼓動が響いて伝わってくる……。
「……爺さんも父親も、高校教師だったんだよ。だからって訳じゃ無いけど、教壇に立つ自信が無いんだよ…」
「…………」
「……応えてやれなくて、ごめんな」
先生が苦しんでるのが解って、
ソッと背中に腕を伸ばす事しか出来なかった。
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