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「あっ!」 「柊?耳、痛いんだけど」 先生の腕に包まれたまま、 切ない想いで堪らなかったのに 大事なことを忘れてたのを思い出してしまった。 「先生。先生のお母さんに……お礼と挨拶するの忘れてました」 「いいよ、別に。気にするな」 「……でも、お世話になったのに」 さっきまでの重かった空気が、 晴れていくように明るくなった気がしてくる。 「柊は、本当に忙しいヤツだな」 「…へっ?」 そう言ったかと思う間もなく、 近づいてきた冬木先生の顔で 視界がイッパイになって… 「……っ…」 優しい触れるだけのキスをされた。 「ご褒美。な?」 「……結果、まだなのに…」 いきなりの出来事に ビックリして聞いた私だったけど 「翔の相手してくれた、ご褒美」 「……じゃぁ、今度行ったら、イッパイ遊びますね!」 「柊、それって……催促?」 少し意地悪な口調になったけど 冬木先生の笑った顔が見れたから嬉しかった。 でも、凄く恥ずかしかった……。
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