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「柊、試験勉強できたのか?……ちゃんと寝たか?」 ……そんな、お母さんとオンナジこと、言わなくても…… そうは、思いながらも、 今日から期末テストがあるから 私の心配をしてくれてるのが嬉しい。 「しましたよ。…ちゃんと眠れたし」 「だったら……いいけどな。 数学の結果、良かったら……ご褒美、やるから」 ルームミラー越しに、 冬木先生が視線だけ向けて、 とっても、嬉しい言葉が聞こえてきた。 「え、本当ですか?」 最近は、全然そんなことを言わなくなってたから… 信じられなくて 身を乗り出して聞いてしまった。 「危ないぞ。柊」 「でも、嬉しくて」 フッと笑う先生が意地悪に言ってくるけど それよりも、 『ご褒美』って言葉が気になってしょうがない。 「結果が良かったら……だよ。」 ……それって、 結果が、良くないのが……前提?
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