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「先生だから、ですよ?」 「そっ」 タバコをくわえて、 火を点けながら出される声。 ……ミラー越しに 柔らかく微笑んだのが… ほんの僅かに、見えた。 そんな、些細な事でさえも、 嬉しくて、堪らなくなる。 「ニヤケてるぞ」 「……ぅ」 冬木先生だって、笑ってたのに! 「まぁ、何時ものことだけど」 「………」 いつものことって……酷い。 「…今度は、拗ねてるのか?」 可笑しそうに、意地悪く言ってくる。 「……傷つきました。」 睨みながら言うと… 「……ハハ、じゃぁ、貰ってやっても……いいぞ」 「……へっ?」 ……それって、 どういう意味ですか? 聞きたいけど、聞けなかった。 「なんてな?…」 冗談だって、解ってる……から。 冬木先生は、 大人だから… 一瞬でも、 本気かと思ってるなんて そんなこと、考えもしてないんだろうな?
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