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少しでも、
ほんの少しでも
そんなことを思ってしまったことに、呆れてしまった。
「柊、ボーッとしてたら、テスト出来ないぞ?」
「あっ、はい。大丈夫です」
ふっと笑って、
そんなことを言っている先生が恨めしく思えてくる。
冬木先生のせいで、
私は、こんなにも心を惑わされてるっていうのに…
先生はそんなこと、
微塵も気付いて無いって思うと、
なんだか悲しくなってくる。
「…先生、数学。頑張りますから……約束ですよ?」
でも、そんなことは顔には出さないように約束の確認をした。
「あぁ、楽しみにしてるよ」
僅かに笑うと、
タバコの灰をゆっくりと落としながら、私に返事をくれた。
「……はい」
先生の綺麗な指が、
タバコを持ってる指が…
タバコを灰皿に置いたままで
方向転換して、近付いてくるのをボーッと眺めていた。
「じゃぁ、頑張れるよう"おまじない"な?」
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