第1章

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 そうこう考えていると、終点の梅田のアナウンスが流れた。  本を持ったまま寝ていたのに寸分狂わず同じ場所に本を持っていたことに我ながら器用だと苦笑する。 本をしまい込みふぅ、と小さくため息をし立ち上がる。  いろいろ考えてしまったがこれから久々に会う親友だ。と思うと次第にテンションが上がっていった。  しかし相変わらず梅田駅は苦手だ。  まるで迷宮のような作り込み、京都駅とは比較にならない人混み、立ち止まり地図を見ることも難しい慌ただしさ。  高校生の時に友人と携帯を持っているのにも関わらず二時間以上はぐれたこともあった。  今でも目印をたどっても迷子になることがしばしばだ。  携帯を見ると隆二から「もうついてる?」とメールがあった。  人混みにぶつからないようにビッグカメラまで足を進めながら「あと五分くらいで着く。」と返信をした。  さすがにもう梅田からビッグカメラまでは迷わない。  「了解、俺ももうすぐ着く。」と返信が来たのでそのまま足を進めた。   
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