第1章

2/11
前へ
/11ページ
次へ
3月の寒さも和らぎ、テレビのニュースでは桜前線の情報や、お花見の時期についての話題で盛り上がっている。  これからまた繁忙期でしばらくは忙しい生活が続くと思い憂鬱な気分でタバコに火をつけ煙を細く吐き出した。  ウエディングプランナーと言えば華やかな世界なイメージがあるだろう。  しかし実際は激務であり、ゆっくり休む暇もままならない。 自分の担当の客の披露宴のために、友人の結婚式に参列できないこともしばしばだと先輩が言っていた 。  ふと携帯が鳴り響く。定期的に連絡を取り合う友人の健二からだ。    「もしもし?」  「おうマサ、元気か。」変わらないいつもの会話だ。  「今は元気だけど、これから繁忙期だからこれから死にそう。」昔はバカな話しかしていなかったが、社会に出てからは仕事の愚痴ばっかだ。  「死にそうなところ悪いけど、俺結婚することになったんだ。」電話越しでも健二の嬉しそうな表情が伝わる。そんな声色だった。  「マジで。てか言うタイミングも今?」いきなり過ぎるしまたカラオケや飲みの誘いだと思っていたのでそんな返答しかできなかった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加