第1章

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 ふと目覚めると十三までたどり着いていた。梅田まではあと五分ほどでつくだろう。    体を軽く横に捻り、ポキポキと鳴らし体を伸ばす。時間を確認するともうすぐ十二時半だ。  少しだけ昔の夢を見た。母と兄と三人でデパートに買い物に行く夢だ。  もう三年近くは実家に帰っていない。  盆休みと正月休みは貰えるのだが、ほとんどの友人が大阪にいるので遊んでいたら帰省する時間もあまり作れないのだ。  高校時代の友人たちは工場勤務やほとんど地元を出ていないため、休みが会わなかったりで会うことすらままならないのだ。    それに父親の再婚相手、属にいう継母のことをあまり好きになれないことも大きな原因だろう。  父親は俺が専門学校に行ってから知らない間に再婚していた。実家にいるとどうしても気を使ってしまう。  継母にしてみても全く知らない子がいきなり息子になったのだ。簡単にお互い受け入れられる事態ではない。  
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