17人が本棚に入れています
本棚に追加
「やめて」
私は力いっぱい悠馬の体を押し戻した。
突き放された悠馬は、驚きと、微かな怒りを含ませた目で私を射抜いた。
「悠馬が誰を好きでいても私が口を出せる事じゃない。でも、覚えていて欲しい。私は、拓実が好き。拓実意外考えられない。だから、もし悠馬が私を忘れられないというなら…」
涙が込み上げた。
どうしてこんなときに、思い出すのだろう。
悠馬と二人、映画館でポップコーンを分け合いながら食べたことや、ゲームセンターでコインゲームに何千円もつぎ込んで憂鬱になったことや、海を眺めて思い出話をしたことや、私の作ったベーグルサンドを褒めてくれたことや、それから、夢中で抱き合ったことなんかを…。
最初のコメントを投稿しよう!