第四章・ひどい女

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なんということだろう。 いつもの彼なら、人気のない海や山のある方を目指すのに、今日に限って悠馬は、街や、交通量の多い国道沿いばかり選んで走る。これでは話を切り出すタイミングがない。 悠馬の話しは尽きなかった。次から次へと話題を提供し、私が答える前に次ぎの話へ飛びつく。息つく暇もないほどだ。 「それでさ、勇気のやつさ、あのキーホルダー学校のカバンにつけてんだよ。だせぇとか言いながらさ。ハハハ…」 「ねぇ、悠馬、聞いて!」 「聞いてるよ。だから、勇気だよ。春になったら動物園へ行きたいなんてリクエストされてさ」 「お願い、少しだけ私の話を聞いて頂戴」 たまりかねて言うと、悠馬はぽつり、 「嫌だよ」 沈んだ声で反論した。
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