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…どれにするな。
店頭になら並べられ たさまざまなチョコ菓子を食い入るように見つめて選ぶ。
俺、宮下康平は俗に言うチャラ男。明るく染めた茶髪に両耳にはピアス、着 崩した制服。そんな俺がなんでチョコ菓子を見ているかと言えば…それこそ俺の重要秘密。
誰にも言えない秘密、それは俺が無類のチョコ好きと言うこと。
小学校の頃、チョコが好きなのを女見てえと馬鹿にされて以来、それがトラウマになって隠すようになった。それぐらいでトラウマになる?って笑われるかもしれないけど、好きなものを思いきり否定され、笑われてすごい傷ついたんだ。
今の高校の友達にバレてみろ…馬鹿にされる…永遠に。
そんなチョコ好きを隠して狭く生きている俺の日課は地元のコンビニで毎朝チョコを買うこと。
毎日チョコを買っていく俺にバイトの人は最初怪訝な顔してたけど、今は慣れてのかわからないけど普通。
いつもコンビニで買ってるけどたまには高いチョコを食べてみたいと思う。最近は安くても美味しいチョコがたくさん増えたけど、ショコラティエがつ一つ手作りで心を込められて作られたチョコはどれだけ美味しいのだろうか。
と言っても、高級なチョコは買えな い。そんなものに手を出したら舌が肥えて高いのじゃないと満足出来なくな りそうだし、高校生で買えるものじゃない。食べてみたいけど……。
だから安いので我慢。一粒500円の チョコなんて買えない。なら一つ50 0円のチョコが格安。俺は唯一美味しいメーカーの板チョコでいい。
こんだけチョコ菓子見てても結局買うのはつもの板チョコがほとんど。見てても意味ないけど見てるのがいいんだ。 チョコを見てるだけで心は満足できるし、限定品とか新商品を見るのは楽しい。
それでも1回でいいからカカオの深い香りした舌で蕩けるチョコを食べてみ たい………。
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