隠れた太陽

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隠れた太陽

去年の冬、あたしには彼氏がいた。 ちょうど初雪が降り、テレビの中でお天気キャスターが寒そうに寒空の下で笑っていたっけ。 たしかそんな普通の日だった。 いつもどおり駅前で待ち合わせをして、普通の言葉で振られた。 彼は中学校の同級生で、卒業してからその冬まで、もう少しで1年記念日だねなんて笑いあってた頃だった。 あたしにとって初めての彼氏で、あたしなりに精一杯好きでいたつもりだったのに、涙は出なかった。 だから夜中のニュース番組の音を小さくし、携帯で流行りの失恋ソングを検索して、無理やり泣いた。
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