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2-Cのメイド喫茶は、席が足りなくなり、廊下に立ち並ぶ客もいるほど盛況だった。
そんな2-C教室を、客が使ったテーブルを拭いきながら見ている絽稀和は、1人で微笑んだ。
「何 微笑んでるの?」
愛優が左から歩み寄ってきて言った。
「・・・見てたのかよ。」
絽稀和は、恥ずかしそうにふきんを持った手の甲で口を隠した。
「いつも見てるわ。・・・あなたのこと・・・」
「・・・えっ・・・」
「・・・にしてもよかったっ。私不安だったの、こんなすごい学校に転校して、やっていけるのかなって」
愛優は、話をしたりお茶を飲んで笑顔になっているお客たちを眺めながら言った。
「そっそーだよ!桜木ってどういう暮らししてんだよ?そこ謎!」と絽稀和が食い入るように聞くと、彼女は苦笑いして答えた。
「・・・私ね、両親が、いないの-」
「えっ・・・!」
「母は、私が生まれた時持病の発作が起きて、母はこの子を優先して下さいって助産員さんに、発作が起きているにもかかわらず必死でお願いした。だから今の私がいる。母は自分を犠牲にしてまでも私を守ってくれたわ-。その後助産員さんが母に声を掛けた頃には時すでに遅し-・・・母は、息絶えていたの」
絽稀和はドキン・・・と胸の奥で音がしたのを感じ取り、愛優の話の続きを聞いた。
「父は、母が亡くなった数日後、妻の死に絶望し、私を1人で育てきれなくなって自殺したの・・・」
絽稀和はその先を知っているかのように、慌てて口をはさんだ。
「そっそのお父さんは、まさか、首つりじゃ・・・!」
「!?・・・ええ・・・そ、そうだけど・・・。どうして知って・・・」
愛優も驚いていた。
なんで、そこまで全く同じなんだ?
亡くなったリンがそうだったように、桜木もまた、同じ過去を持っているのは・・・!
偶然にも程があるだろう!!
そんな考えを巡らせている絽稀和の横顔をちらっと見た愛優は、話を続けた。
「その後は、私親戚の人に引き取られて・・・。その人は私の桜木家のように貧しくて、私に意地悪で、全然対応してくれなかった。無理もないわ。・・・だってその人、認知症だったんだもの・・・」
愛優がそこまで話すと、絽稀和は少し安心していた。
そ、そうだよな、そこはリンとは違う。だって両親を亡くしたリンはその後、
「児童養護施設・・・」
愛優がそう、ぽつりとつぶやいたのを聞
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