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絽稀和は4月~5月頃は、彼女を非難する態度をとっていたが、最近になって彼女を温かく見守るようになっていた。勿論リンに似ている、ということ、そしてよれよれでボロボロな服装で、とてもいい暮らしをしているとは思えないが、それでもいつも笑顔でいる健気な彼女を、少しだけ見直したからだ。同じクラス
、大切なクラスメイトなのだ、仲間外れになんて、絽稀和にはどうしてもできなかったのだ。
そのHRの後、早速作業が始まった。
まずは、4つの班に分かれ、それぞれ歩くコース係、そのコースに置く物、設置係、道案内の放送係、ルール係の4つの仕事を1つの班に1つずつ、担当することになり、班は座席の位置で決まるので、絽稀和、愛優、川野、山岡の4人は、愛優と山岡の前の席に座っている男子2人、矢口と前田も加わった6人でコースに置くもの、設置係になった。
コースに置く物を調達したり、当日までに設置するという仕事内容に意気込む4人と、1人いまいち気が乗らない愛優、そんな彼女を仲間に入れて、みんなで肝試しを成功させたい絽稀和・・・。
そんな6人がまず起こした行動は、肝試しということで、人体模型や骸骨を、理科室に取りに行くグループ、歩くコース係にその物を設置する場所を確認するグループに分かれること。
理科室グループは川野、愛優の女子2人。そして愛優が不安そうだったため、絽稀和も行くことにした。
桜木がそんなんだったら、みんなで肝試しを成功させることなんてできねぇじゃんか!
絽稀和は、そう考えての行動だった。
そしてあとの山岡、矢口、前田の男子3人が、その物を設置する場所をコース係に確認しに行くグループに決定した。
早速グループごとに動き出し、絽稀和たちは理科室に向かった。
教室を出ていく川野たちを、後ろから見つめ、ぼ~っとしている山岡に矢口と前田が声をかけた。
「おい山岡、コース係に確認しに行くぞ!」
「何 ボーッとしてんだよ?なあ聞いてるか山岡っ」
2人の強気な言葉にはっとした山岡は、「あ、ああ・・・ごめんごめん。今、腹減ったな~って思ってたんだよ」とお腹をさすって2人に見せた。
「ったくおめーは、早食いって聞いたけど、まだ朝だぜ?食いしん坊かよ」と矢口が言うと、「ホントだよ。どんだけ食うんだよ?」と前田が笑いながら言った。
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