急速に深まる仲

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「はい じゃあ5番ペアー。さっきも言った通り、この体育室から廊下へ出て、放送を聞きながらルートを2人で歩いて来て、ゴールはスタートと同じ、ここ体育室。ルートには物設置係がところどころに障害物を置いたから、それも楽しみながら行ってきてくださ~いっ」  ルール係の生徒が説明し、コース係の生徒が「どうぞ~気をつけていってらっしゃ~い」と付け加えると、5番ペアが体育室を出て、廊下へ出ようとした時、入れ違いで4番ペアの川野、山岡ペアが帰って来た。 「なんだなんだ川野、山岡。遅いじゃないか。もう次のペアが行くところだったぞ!そんなに面白くてずっと居たいくらい楽しかったか?いやー、それはよかった。企画した甲斐があったよ。さすが先生だ。」  小木先生が、ほっほっほっと威張るように自画自賛した。  すると山岡が「せ、先生っ・・・俺ら何も、言って、ねえっすよ・・・」  ぜーっぜーっと荒く息切れをすると、「そ、そうよ、面白いどころか、ほとんど真っ暗で前が見えづらかったですよ!」と川野が付け足した。  そんな3人のやり取りを見て、聞いていた絽稀和の右隣にいる愛優が震えだしたことに気付いた絽稀和は、そっと愛優の右肩に手をまわした。 「大丈夫だ。オレがいる。桜木は1人じゃない。いつだって、1人なんかじゃない-・・・!」 「大丈夫!僕が一緒にいるよ!リンは1人じゃない!いつだって1人なんかじゃないよ-・・・!」 「え・・・?」 「僕がいるじゃないか!いつも僕がリンのそばにいるよ-・・・!大丈夫だよ、リン-!」 「・・・ありがとう、絽稀和・・・!」 「ろ・・・な・・・きな・・・絽稀和・・・?」  その声にはっとした絽稀和の目の前には、愛優が心配そうにこっちを見ている。 「え・・・?あれ、ここ・・・」  絽稀和があたりをきょろきょろしていると、愛優が言った。 「何言ってるの?私たち6番ペアで、もう肝試しの順番だよ?行こう?」  彼女はそう言って絽稀和の右手を優しく握った。 「桜木・・・?どうした・・・?」  絽稀和は不思議そうに彼女を見ると、彼女は嬉しそうに自分の右手を口に添えて笑った。 「えへへっ絽稀和が大丈夫って何度も言ってくれたから、落ち着いたよっ。ありがとうっ!」 「え?・・・あ・・・そうか・・・それなら・・・よかった・・・」  絽稀和は、あまり何が起きたのか理解できなかったが、体育室
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