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それから時は流れ、数か月後。
紅葉も色づきだし、文化祭が近づいてきた。
2-Cは出し物がメイド喫茶に決まり、女子は衣装作り、男子は看板作りに励んでいた。
「なあ、なぜにメイド喫茶なんだよ。俺 美容室って意見出したのになーっ」
山岡が廊下で木の板をノコギリでぎこぎこ切りながら言った。
「それこそなぜに美容室なんだよ。山岡ってそんな技術あったっけ?」
絽稀和が山岡の切っている板を、右手で抑えながら聞いた。
「ねえよ ンなもん!ふざけんじゃねーよ!」
「なんでそこで逆ギレされなきゃいけねーんだよオレ。意味わかんねーよお前」
絽稀和は厭きれたようにため息をついて言った。
すると山岡は、突然天の神様に祈るようにして言った。
「だって俺さ、目立たねーキャラじゃんっ!?」
「思いっきり目立ってると思うけどな」
絽稀和のそんなつっこみに構わず、山岡は続けた。
「でさー、俺目立たなきゃ!ってことで、今美容師目指してんだよ。俺ってすげえ志持った!俺すげえ!」
絽稀和は左手を口の横に添えて、呼びかけるようにして言った。
「これ以上目立つ必要ないと思うぜー。てかお前、今野球やってんじゃーん。今から美容師目指すなんて無理だろー。別にすごくないしー。大丈夫か山岡ー。壊れてきたんじゃねーかー?」
「まあまあ、突然そんなに声援送られても、俺・・・困るぜ」と山岡はナルシスとのように、前髪がないというのに、まるであるかのように手で風になびかせる仕草をした。
「別にオレは声援を送ってるわけじゃな・・・」
絽稀和の言葉が止まったのも無理はない。
山岡が、別人のような顔をして、窓の外を見上げていたからだ。
・・・目立ちたいというのは自分のためなんかじゃなく、川野のためだ。
俺が、今学校のアイドルと人気者の十時よりも目立つために・・・!
美容師、ちょっと言い過ぎたが、そうでも言わないと自分に自信がなくなってしまうからだ。傍から見ればそんなことないだろう、と思う人もいるだろうが、自分はそういう人間なのだ。
川野には、きっと俺なんて視界に入っていないだろう。だから少しでもこっちを振り向いてくれるよう、今十時に見せつけるように少し極端に、美容師、と言ってしまったのだ。
川野には十時じゃ似合わない。川野には、きっと俺の方が合ってる。いや、絶対俺が合っているのだ。十時になんか負け
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