重なる過去 ~リンと愛優~

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和は、ばっと後ろを振り向くと、ピンクのワンピースに白いフリフリのエプロンを重ねた衣装。白色のハイソックスを身につけ、髪は低めのツインテールをした黒髪で、白のスカラップのカチューシャをつけて恥ずかしそうに教室に入って来た愛優の姿があり、絽稀和は顔を赤くして、右手で口を押さえた。 「似合ってる・・・」  それが、愛優に歩み寄って放った絽稀和の第一声だった。 「えっ・・・そうかな?あ、ありがとう絽稀和っ・・・!」  愛優が恥ずかしそうに絽稀和にお礼を言った。 「何何?十時、おまえ桜木に惚れたか?」  1人の男子生徒がからかった。 「ち、ちげーよバカっ そんなんじゃねーよっ!」  ヒューヒューッ♪  まわりにいる男子一同が冷やかした。  すると愛優が嬉しそうに照れて、右手を口に添えて、「絽稀和も、そのスーツ似合ってて、すごくカッコいいよっ」と小声でひそっと言ったものだから、絽稀和がドキッとしたのも無理はなかった。  するとそこに、桜木を連れてきた川野が「じゃああたしは?可愛い?」とふざけて、自分を指差して絽稀和に言うと、絽稀和の隣にいた山岡が「か~わい~」と言いだしたものだから、そんな2人を、教室にいたみんなはどっと笑った。 「バカップルや!」 「へえ~っ山岡って川野のこと好きなのか~っ?」 「えっそうなのかぁ?どーなんだよっ川野はっ」  1部の男子たちが2人をからかった。  2人が顔を赤くして放った一言。それは「はあ!?」と見事にハモったため、教室の雰囲気がさらに明るくなった。  するとそこへ小木先生が教室に入って来た。 「やあみんな。オープンまであと5分だ。準備はできているか?お客さんをもてなす女子。客引き、又は女子の手伝い、そして手が空いていたら、人手が少ない仕事を手伝う男子・・・。みなそれぞれやることが違えど、心はいつも1つだ!みんな、この文化祭、必ず成功させるぞ!!」  小木先生が右手をグーにして腕を上に突きあげると、生徒は同じようにして、「おーっ!!」と声を挙げ、そしてようやくオープンの時が来た。
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