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を下げていた。
すると山岡が静かになって、川野の顔を見て笑った。
「・・・俺の事、好きになった?」
それを聞いた川野は顔を赤くして言った。
「は、はあ!?んなわけないじゃんッ!あんたみたいなやつ!」
すると山岡は、川野の耳元でささやいた。
「いつか絶対、俺の事好きにさせてやる」
「はあ!?な、何言って・・・!」
「まあ少なくとも、2年の内に俺の事好きになるだろうよっ」
山岡は川野から離れて左手を上に挙げ、すたすた歩いて行ってしまった。
「な、何なのあいつ。相変わらずほんっとバカっ」
顔を赤くした川野は、そう言って廊下に立ちつくした。
そんな恋の急展開があった文化祭から年が明けて3カ月。
卒業シーズンになった。
川野はあれからというもの、山岡が気になってしょうがなくなっていた。
山岡は・・・というと、今までとは裏腹に、むしろ川野にあまり話しかけず、2-Cのムードメーカーになり、逆にもっと川野に気にならせる、という小悪魔男子になっていた。
愛優は相変わらず古着の制服風の服装で学校に通っていて、ひそかに絽稀和に想いを寄せているようだった。
一方 絽稀和は、リンを忘れられずにいて、愛優のことは親友以上の仲だと思っている・・・。
そんな4人の平穏な日常はさらっと過ぎてしまい、春休みがやって来た。
山岡は川野を初デートに誘い、遊園地へ行くことになったそう。
愛優も、思い切って絽稀和を水族館へ誘った。返事はなんとOK!
実は、絽稀和はこの時季、あまり外には出たくはなかった。だが、今は愛優がいる。つまり、リンが一緒にいてくれるのだ。それでなのか、愛優の誘いをOKしたのだった。
愛優は嬉しくて嬉しくて、母親の妹、ルイの古着屋では、デートの当日から1か月前、つまり絽稀和を誘う前から着ていく洋服を、毎日学校から帰っては悩み、1人できゃっきゃきゃっきゃと盛り上がっていたのだ。
デート当日
白のワンピースに、プロデューサー巻きをした黄色のカーディガン、ピンクベージュのポシェットに6cmヒールの靴を履き、ハーフアップをレースのシュシュで留めた愛優が待ち合わせ場所の公園で鼻歌を歌っていると、駆け足の音が聞こえてきたので、あっ と嬉しそうにそっちを見ると、黒のスニーカーに細身のカーゴパンツ、赤と黒のチェックシャツに、青のウエストポーチを身につけた絽稀
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