停車場

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それまで厄介者、ごくつぶしと罵られてきた私には、また下働きの場所が変わっただけにしか思ってはおりませんでした。 何しろ… 「女なら女郎屋に売ってしまうところだ。置いてやるだけありがたく思え。」 常々、そう言われ続けてきましたから。 ここを追い出されたら、今度こそ行き場がなくなってしまう。 幼心にも、必死で頑張らなくてはと、それだけで頭はいっぱいだったのです。 だから、この日を境に自分の運命が変わるなど、どうして想像できたでしょう。 忘れもしません。あの時の兄上のお顔を…
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