停車場

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いくら榊原家が篤志家として知られていても、突然連れてこられた遠縁とは名ばかりの孤児を引き取るのは、さすがに無理があったでしょう。 いったん預かって然るべきところに託すということで決まりがつき、しばらく置いていただけることになりました。 おどおどと周りの人間を見上げる私に、兄上がかけられた言葉にどれほど驚いたことか。 「僕に弟ができたみたいだ!」 両親が亡くなって以来、久しぶりに私へ向けられた心からの笑顔だったのですから。
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