停車場

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「僕の小さい時の服だよ。」 くたびれ果てた着物しか着たことのない私に用意されたのは初めての洋服。 風呂と温かい食事までいただきました。遠慮する私に、世話をするかのように傍らに貴方がいらしたのはとても安心したものです。 そして、これも生まれて初めてのふかふかの布団。 一緒に寝るのだ、と聞かない愛息に折れて私たちは布団を並べることを許されました。 寝物語は「弟ができたら一緒にやりたかったこと」 雪が降ったから裏庭で大きなかまくらを作ろう、春なら小川で鮒が釣れたのに… 今までまったく無縁だった話に、文字通り夢心地で耳を傾けたのです。 本当に叶ったらどれほど嬉しいだろうかと思いながら。
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