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きっかけは、ほんの些細な事だった。
僕は小さな頃から‘ある理由’で旅をしていて。これまた‘ある理由’で、色んな人に絡まれる事が多かった。
あの時も僕は、十数人のガラの悪い男の人達に絡まれて困っていた。
そこに、君は現れたんだ。
それだけを聞けば、みんなは格好よく助けてくれた君の場面を思うかも知れない。けど、現実はそんな事は全然なかった。
君はただ、「通行の邪魔」ってだけで男の人達を文字通り吹き飛ばした。それも、たったのナイフ一本だけで。
空中に舞う男の人達と僕と君と。
それが、僕達のちょっと変わった……大分変わった出会い方だった。
***
「レオ君待って~」
僕は肩で息をしながら、先を歩くレオ君に声をかけた。呼ばれたレオ君はふり向く事もしないで、先へ先へと進んで行く。
レオ君が僕を待ってくれる気がない事は、よく知っている。だから僕は、また見失ってはぐれないように一生懸命レオ君の方へと走り出した。
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