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私はバスに乗ると一番後ろの席、右側に座った。家には歩いて帰れるのだが、私は毎日町外れの小さな山に向かう。 毎日、毎日。 この制服で山に向かうのは目立つが山の所まで乗車している人はいない。 都内の高校近くにバスが停まると多くの学生が乗ってきた。私は紺色のブレザーを見てから窓に視線を向けた。 「お嬢様学校の子じゃん。やっぱり違うよな」 「何?あたしらだって制服着れば一緒だっての」 「あー、はいはい。水口だって憧れるよな?」 「あ?たかが制服じゃん。てか、お前ら静かにしろよ」 過ぎていく景色は駅、街中、町外れの。どんどんと家が無くなっていく。その度に人は降りていく。駅に向かうもの、家路に急ぐもの、バイトに行くもの。 一人のおばあさんが降りたら、バスに残ったのは私と紺色のブレザーを着たアイツだけ。 紺色のブレザーは共学。頭はそこそこだけど、校風は自由で楽しげな学校だとクラスメイトが羨ましがっていた。 「よぉ。悪かったな」 「…別に水口が謝る事はない」 彼、水口新は一番後ろの席、左側に座った。 水口と私は小学生の頃からの仲だ。 だからと言って仲のいい幼馴染みでもないし。友人でも無い。はたまた恋人でも無い。 今時な男子高校生とお嬢様学校の私。運転手しか私達が知り合いだと知らないだろう。 「おっと」 水口は降りるブザーを押した。次で私達は目的の所に着く。 私達は毎日放課後の時間を共有している。私はこの関係の正しい言葉を知らない。
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