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それ以来、彼女はいつも裏庭に来てお昼を食べた。月子ちゃんと呼べば、彼女は嬉しそうに笑った。私は上手く笑えないので彼女の笑顔が眩しかった。 「なずなちゃん。禁断の恋の噂を知ってらして?」 「…禁断の恋?」 女子校で禁断の恋。それは教師との恋か、はたまた女性同士の恋なのだろうか。私はお茶を啜りながら考えた。 今日も裏庭は私達しかいない。天気が良く、緑溢れた学校は公園みたいだ。バラ園もあるのだから物語特有の色恋もあるのかもしれない。 「昔、教師と恋に落ちた生徒がいたみたい。逢瀬はいつも学校の隅にある教会。ステンドグラスが綺麗な教会で愛を囁きあうの…」 月子ちゃんは恋に憧れを持った女の子なのだろう。目をキラキラさせて話す彼女はとても素敵だと思った。 「とってもロマンチックよね。私もそんな男性と知り合えたら……そういえば、なずなちゃんは中学は共学だったのでしょう?素敵な恋人はいらして?」 「え」 私は目を丸くさせた。そして思い出すのは、彼。私せいで捕らわれている彼。 「…その人達はどうなったの?」 「そうそう。なんと御家族と先生方に知れてしまって……生徒の方は哀しんで自害なさったそうなの」 月子ちゃんは悲しげに呟いた。私は学校の隅にある教会を思い出す。カトリックではないが授業の一貫で教会で祈りをしたことがある。 そこには危ない霊はいなかった。 自害した霊は地縛霊になり、その場や周りにいる人に影響を与えると先生が言っていた。 「一人で死んだんだね…」 「教師の事は詳しくは分からないの。でも噂だと辞めさせられて、学校から消えたらしいの。それ以来教会には彼女の幽霊が出るらしいわ」
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