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彼女は凛としていた。死してなお気丈に振る舞えるのだから精神的にも強い女性だったのだろう。だが、彼は来ない。ここにいないのだから、もう成仏してしまったのだろ。
「彼は来ません。成仏しているんです…だったら『嘘よ!!』
彼女の霊圧で体が壁に弾き飛ばされた。教会に大きな音が響き私は息を整えた。ここで問題は起こせない。
それに、このくらい平気。
「…本当です。貴女が亡くなった時、彼も亡くなった。先に行ってしまったけれど……」
私はまたお経を唱える。彼女を無理矢理成仏させるつもりはなかった。
私は彼女の目を知っている。今だって彼女はあの目をしている。
数珠を鳴らし掲げた。光の柱が淡く落ちてきて私は息をついた。
『嘘…』
彼女は目を丸くさせた。なぜなら彼女の目の前には彼女の待ち焦がれていた彼がいたからだ。
彼は彼女を抱き締めると光の柱が二人を包み込んだ。光の柱は淡く部屋を包み込んでいく。彼女は一粒の涙を溢した。
溢した瞬間、教会の扉が開いた。私は振り替えると目を丸くさせた。
「バカ。何やってんだお前」
「水口…どうして」
私は瞬きを繰り返した。他校生が入れないはずなのに水口がいる。彼はあからさまにため息をついた。
「もう終わったんなら帰るぞ」
二人はもう消えていた。空気も淀んでいなく、何もいない空気だった。
「…どうして」
「バスに乗っていなかったから来た。忍び込むの大変だったんだからな」
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