最終章・これから先のことなんて

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「……………帰ろっか」 しばらく一緒に笑い合った後、竹下さんはそう言って可愛らしく首を傾げてみせた。 「………はい」 俺たちは握手を解いて再び歩き出した。 俺はわざと竹下さんより一歩後ろを歩く。 この角度から見る竹下さんが1番好きだから。 初めて2人でゆっくり話したクリスマスイブ。 この位置から見た竹下さんにドキッとした。 あの時は全然掴めなかった自分の気持ちが今ならハッキリ分かる。 俺は、竹下月乃さんが、大好きだ。 竹下さんは俺に『これからも、よろしくね』と言ってくれた。 俺も同じ言葉を竹下さんに言った。 竹下さんが言った『これから』と俺の『これから』は、もしかしたら少し違うのかもしれない。 竹下さんは、明日から始まる新しい仕事についてだけよろしくと言ったのかもしれない。 俺が竹下さんに向けて言った『これから』は、その先もずっとずーっと続く未来だ。
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