最終章・これから先のことなんて

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『ずっと見ていたい。それだけなんですよ』 タモツさんの言葉が頭を過ぎった。 あれはいつだったかな? 俺が1人でタモツさんのお見舞いに行った時。 ちょうどメグミさんも来ていて、お二人が本当に仲良く幸せそうに笑っているのを見ていたら俺まで心が温かくなって、思わず口走ってしまった。 お二人は本当に今でもお互い好き同士なんですね、と。 メグミさんは目を丸くした後すぐに真っ赤になってものすごく照れていたけど、タモツさんはサラリと俺の言葉に答えてくれた。 『僕は毎日メグミの顔を見れればそれだけでいいんですよ。 ずっとメグミのことを見ていたい。 そんな気持ちで始まって、その気持ちを毎日繰り返して今日まできたんです』 やだ、もう、何言ってるの!と更に赤くなったメグミさんに微笑みながらタモツさんはもう一度繰り返した。 『ずっと見ていたい。それだけなんですよ』 その後すぐに、純平くんにはまだ分からないかなー、とからかうように言いながらタモツさんは穏やかに笑っていた。
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