最終章・これから先のことなんて

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ずっと見ていたい……。 タモツさんと同じ気持ちかどうかは分からないけど、俺もそう感じるようになっていた。 俺も、ずっと見ていたい。 甘く優しいマシュマロスマイルだけじゃなく、悩む度に眉間に刻まれる可愛いシワも。 すぐ不貞腐れたように尖る小さな唇も。 何か事がうまく運ぶ度に得意げにヒクヒクする丸い鼻も。 コロコロとよく変わる竹下さんの表情をずっとそばで見ていたい。 いや、竹下さんの顔だけじゃなくて、これからもずっとそばにいて竹下さんの仕事ぶりや竹下さんの作り上げるモノをたくさんたくさん見ていきたい。 まだ殆ど知らないプライベートの竹下さんも見てみたい。(ちょっと怖いような気もするけど) いつもそばにいて、共に過ごす季節の移ろいも、楽しいことや嬉しいことも、悲しいことや辛いことも。 全てをこの目におさめたい。 これから先のことなんて、どうなるか分からないことばかりだけど、この気持ちだけはきっと変わらない。 これから先、何年経っても、変わらない気持ち。 こんな感情を持つのは初めてだけど。 俺は、竹下さんを、ずっと、ずっと、見ていたい。
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