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これからもこんな風にずっと時を重ねていきたい。
竹下さんと共に。
そんなことを切に願いながら俺は歩いた。
いつの間にか大通りに出て、俺たちが目指す駅が道の向こう側に見えてくる。
「ねえ、竹下さん」
信号待ちの横断歩道で竹下さんの右隣に立って俺は前を向いたまま口を開いた。
「いつか、折り入ってお話ししたい事があるんです」
「え? いつかって何?! 」
竹下さんが目を丸くしながら俺を見上げる。
「んー、今日はまだちょっと言えないかなって。
でも、もう少し頑張って俺が今より成長できたらすぐにでも言いたいことがあるんです」
「何それ。気になるじゃない。今言っちゃってよ」
「いや、まだダメです」
「えー?! 柿本くんってそんなに思わせぶりだったっけ?」
竹下さんは頬を膨らませながら俺の左腕をパシッと叩いた。
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