最後の一日

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夜の静寂に包まれた大型ビル。 その地下2階。 そこよりさらに下層にある重要研究区画を保護するため、迷路のような構造になった階層。 私……白瀬芙喜子は息を殺し、侵入者の全貌を目視した。 照準を合わせるヒマもない一瞬だったが、見間違うはずもない。 あれはアイツだ。 十年近い空白からの再会が戦場で、しかも敵同士とはまったく因果なものだ。 アイツの使用している銃は相変わらずS&W M10。 しかし弾の形状と火薬が特別性でたいていの装甲は貫通する。 戦闘においてかならずしも弾丸の貫通力=威力とは限らないが、ヤツの射撃ならば急所を外すことはあるまい。 不用意に身体を晒すことはそのまま死を意味する。 ……ま、あいつに殺す気があるかはわからないが。 周りに倒れている味方のサイボーグ達を一瞥する。 再起不可能な場所に弾丸は打ち込まれているが、命に別状はないようだ。
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