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おそらく向こうも私の顔を確認したはずだが、その動きに戸惑いはなく、間断なく私への陽動と牽制を繰り返している。
牽制に打ち尽くしたマガジンを交換し、愛銃H&Kの銃把を祈るように握る。
もはや私以外の仲間はやられてしまったらしい。
アイツだってそろそろ身体にガタが来ているはずなのに、やれやれまったく恐ろしい話だ。
半年前まで跳梁跋扈していたホンフーや犬井のような人外ならともかく、並の超能力者やサイボーグでは歯が立たない
アイツは単独のようだが、このまま長期戦に持ち込んでも増援は期待できないし、あと10分も経てば私は戦闘不能で、わずかな余生をベッドで過ごすことになるだろう。
「……なら、仕掛けるしかないか。」
装弾を確認。
愛銃はベルトに差し込み、代わりに、倒れた仲間の銃を取る。
私はゆっくり、ヤツの前に姿を晒した。
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