10人が本棚に入れています
本棚に追加
「……オーケー。
わかったわ。
さっさと打ちなさい。
もともとこんな場所、手に職つけるために来ただけでなんの義理もないし。
……ねえ、知ってた?私、アンタに殺してもらうのが夢だったのよ。」
一歩、また一歩と私は近づく。
背中には、ベルトに挿した銃の感触。
抜いて撃つまで一秒。
ヤツはそんな欠伸が出そうな時間を見逃しはしないだろう。
……だからこそ。
策で殺す。
私は歩を止める。
「……気をつけて。アンタの背後20メートル。
増援が狙ってるわ。
アタシに位置の誘導を指示している。」
声を押し殺し、そう言ってやる。
ヤツの瞳孔が開く。
もちろんこんなものは嘘八百だ。
「だから逆にフェイントをかけなさい。
私が合図したら横に大きく飛んで、射撃に失敗した相手を撃ちなさい。
……いい?
5、4、3……」
ヤツは私の誘導に従い、少しずつ身体をずらす。
飛んだが最後……撃ち抜いてやる。
「1、ゼロ!」
打ち合わせ通り、ヤツは横に飛んだ。
自分でも驚くほど俊敏に隠していた銃を抜き放つ。
銃声が響いた。
最初のコメントを投稿しよう!