Chapter 2 A bird in the hand is worth two in the bush.

8/9
157人が本棚に入れています
本棚に追加
/202ページ
「で、どうだ。何かわかったか?」 コリンが去って第一声。宗一郎が問い掛けた。 『あぁ、十分だ。ご丁寧に復唱してくれなくても良かったがな』 「んなっ!? テメェ、人の親切心を……良いからわかったことを言いやがれっ」 『やれやれ。まず、ここはムルド大陸西域。気候は三季で夏が無い。幸いなことに脱出ポッドの予想着陸地点と同じ大陸だが、あちらさんは東側だ』 「脱出ぽっど? またわからない単語だ」 「えっ、と…船で言う所のボートだ。俺達の乗っていた船が落ちたから、ボートで逃がしたんだよ」 「ふむ、ならばその『ぽっど』には貴様の仲間がいるのだな?」 「そういうことだ。備蓄があるとはいえ、あっちは民間人の集まりだ。ちゃんと生活出来てりゃ良いが……」 「なるほど、宗一郎はその者らを助けに行くのか」 「……………そういうことだ」 本当は、助けて欲しいのは自分だけど。 情けなくなるので宗一郎はそっと胸の中で呟いた。 「仲間を救うためか。なれば、悠長にしている暇は無い。やはりあの童子の話に乗るべきであろう」 珍しく言葉に熱を孕ませるレヴィ。 コリンの話とは、簡単に言えば盗賊退治。 最近になって山に盗賊の一味が住み着いたらしいのだが、潜伏場所がわかっているのに王国は何度嘆願しても動いてくれないと云う。 そこで、付近の村が賞金を懸け、腕の立つ者に討伐してもらおうという話になっている。とのことだった。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!