Chapter 3 Boys will be boys

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「朝だよっ、おはよう!」 目覚まし代わりの大号令。 コリンの大声が、物置小屋に響き渡った。 「…………んあぁ?」 寝惚け眼の宗一郎が、人相の悪い顔を歪ませて呆けた声を返す。おかしな夢でも見ていたのだろうか、首を一転、二転回し、漸く「あぁ、そっか」と現状を理解したような言葉を溢した。 「あれ、レヴィは何処行った?」 「姉ちゃんはとっくに起きて剣を振り回してたよ」 剣を振り回す。朝一番から。意味の分からない相方の行動を不審に思いながらも、眠気が勝り思考を放り投げる。 「…………妖精が呼んでる………ネバーランドに行かなきゃ…………おやすみ」 「あっ、なに訳のわからない事言って寝ようとしてるんだよ。今日は盗賊退治に行くんだよ!」 「ん~…………男は幾つになってもピーターパンさ……」 盗賊退治を遠足を楽しみにしていた子供のように語るコリン。必死に起こそうと宗一郎の体を揺さぶってみるが、当の本人は揺りかごの中の赤子の如く気持ち良さそうな顔を浮かべている。 「もうっ、ボクも姉ちゃんもとっくに準備出来てるんだから、早く起きてよ!」 「………そんなもん待たせときゃ…………? ん、コリン……今、何て言った? お前も行くとか……………」 「うん、ボクも行くよ。だって兄ちゃん達、場所分からないだろ?」 「ほぅ、危険と知りながら、共に行かんとするか。見上げた胆力だな童子」 冷淡な声に、夢の中に片足を突っ込んでいた意識が一気に覚醒する。 「それに比べて、貴様は私を待たせながら、いつまで惰眠を貪るつもりだ。マイマスターよ?」 怒気で景色を歪ませる、漆黒の魔王がそこにいた。
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