Chapter 3 Boys will be boys

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宗一郎が折檻を受けている頃、ロランド城に一人の使者が舞い込み、その言葉にロランド王は頭を悩ませていた。 「ふむ、承知致しました。下臣達と相談致します故、暫し別室でお待ち下され」 玉座に座る、丸々と肥えた樽のような初老の男。この者は、ロランド国王、ブリスベン・ディ・フォックス・レイ七世。通称、狸。 貧しい身から国を興し、かつてこの大陸の半分を統一した『獅子王』の一族の末裔。だが、三代目にして領土を大きく失い、今では侵略に怯え、大国に貢ぎ物を出して媚びるほどに落ちぶれている。その有り様は『名君は三代続かず』との言葉を生んだ程である。 そして、そのロランド王、ブリスベンを悩ませる使者。送り主はガルニア帝国。ロランドの用心棒と言われる貢ぎ物の受け取り主でもある。 「どうすればいいかのぅ、二大司よ」 「馬、麦、武具、人と来て……今度は名ですか」 王の横に立つ、同じ年代位の男が口を開く。 大司空、マキアス・アルレイ。王国の三大権力者と言われる『三大司』の一つ、政の最高位に就く者。 「なりませぬぞっ! 『レイ』の名は神が与え給うた清き神言。人の意思で譲れる物では御座いませぬっ!」 同じく横に立ち、甲高い声で騒ぎ立てるのは大司教、サルモナ・タウロス。彼も三大権力者の一人『大司教』の役を担う者で、その役割は王宮神官の最高位。国を挙げて信仰心の厚いロランドでは他の二大司に肩を並べる権力を誇っていた。 ガルニアが要求して来たのは王の名の最後に付く『レイ』の文字。この『レイ』とは初代ロランド王を称える名として『王』の意が有り、それは神が当時の大司教を介して与えたとされる名であった。
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