Chapter 3 Boys will be boys

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「しかし、ガルニアの怒りはロランドを枯れ葉の如く消してしまいかねません」 「何を仰います大司空。我が国は神に守られし聖域。例え血迷ったガルニアが押し寄せようとも、その加護により蹴散らしてくれましょう」 「これこれ、大層な事を言うで無い。もし誰かの耳に入ったらどうする」 鼻息を荒くする大司教。だが、この言葉も事実。領土を多く失ったとはいえ、ロランド本国は未だその領土を削られたことは無い。とは言え、大司教の言葉が空疎な論で有ることは明らかであるが。 「ハッハッハッ! そんなに怖いのならば、名などくれてやりましょう!」 突然響いた声。 声の主。まだ成人にも達していない少年が、三人の気付かぬ間に部屋の中心に堂々と立っていた。少年のふわりとした青髪を靡かせた、爽やかな面持ちとは裏腹に、煌々と輝く蒼い瞳が意思の強さ示していた。 「こ、これ、グレン。またどこからか入り込みよって!」 王がグレンと呼ぶ少年。無作法にも玉座の前に現れるは、それが許される立場であるからだ。グレン・ディ・フォックス。ロランド王国の嫡子であり、その身分は王子。つまりは、次期国王である。 「ハハハッ。コソコソと機嫌を伺う算段を立てるが王のあり方ですか?」 「口が過ぎるぞグレンっ!」 「お怒りかっ!? 何故、その怒りを神子を寄越せ、名を寄越せと蛇の如く纏わり付くガルニアに向けませぬっ!? 名に実が伴わなければ意味も無し。どうぞ誇りと共に蛇にお与え下さいっ!」
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