Chapter 3 Boys will be boys

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数人を蹴散らし、怒りは冷めたものの、いなすにしては如何せん数が多すぎる。だが、未だコリンは断壁を登っている最中。自分が引き付けておかないと、あの少年に危害が及ぶかもしれない。その思いが、宗一郎足を、その場に貼り付けた。 「おめぇら、道を開けろ。そのガキはワシが相手してやる」 囲む賊の一角が割れ、レヴィの欲しがっていた首長竜に跨がる屈強な男が人の壁を割いた。 その男は、乗り物に相応しく巨躯。白く染まった髪に身体中に付いた傷は歴戦の戦士の証。担いだ大きな鉞(まさかり)は鈍重なイメージと共に、その肉体の頑強さを想像させ、威を孕む。だが、その頭に有る物。異質。 「……………プフゥっ!」 宗一郎が吹き出した。 「小僧、何がおかしい?」 「だって………お前、頭のそれ…………その顔で……おっさんに………猫耳って…………プフゥ! ダメだ。笑っちまう」 口を押さえ、笑いを堪えるも、空気の漏れる音が響く。歴戦の戦士の頭に付いた猫耳。その異様さが彼のツボに入ってしまった。 「あのヤロウ……お頭の気にしてることを……」 「ああ、死んだな……」 周囲がざわつく中、お頭と呼ばれている男は顔を紅潮させ、小刻みに震えている。この様子は恋か殺意のどちらかだが、恋で無いことは確かだ。 「クソガキがぁっ! ぶち殺してやるぁ!」 その証拠にと言う訳では無いが、大男は宗一郎へと一直線に首長竜を駆らせた。
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