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『消え………っ!』
黒鎧が現れたのは巨人の目の前。既にしてその大剣を振りかぶり、斬る体勢に入っている。決定的な遅れ。実力が拮抗しているなら尚の事。
「ハァッ!」
『──ッルアァ! 』
だが、それを防ぐ。
砂塵を孕んで無造作に振り上げたかのように見える短剣が黒鎧の一撃を弾いた。
『─っんだ? 今のは!?』
『良く防いだな相棒。けど急いで距離をとれ。ヤツの速さは想定を二回りは軽く越えてるっ! それにゼロから全開への加速っ! 無理だ」
『あぁっ!? ざけんなっ! 俺はな──』
「やりおるな。では、これならどうだ?」
巨人の目前にて空中に制止した黒鎧が声を遮る。
繰り出すは八閃。音も追い付かぬ刹那の連撃。光の体現。
『Wachhundのエースナンバーだ! 舐めんなっ!』
連撃を受け止めるは暴風。
その身を害さんとする刹那の連撃を、巨体が旋風の如く双剣で弾く。砂塵を孕ませ流し、弾き、叩く暴風。
『ファック! 二発被弾した! 損傷は!?』
『いや、凌いだよ。どちらもやられたのは装甲だけだ。俺の相棒は大したヤツだぜ。けど……』
機体が関節から煙を上げる。
告げるは機体の能力を越えた動作によるオーバーワーク。音の無い悲鳴。
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