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そんな勝手な。
しかしそんなこと言ったってどうせ無駄何だろう。
コクインチョウリツコクインチコウトウガッコウ
だってこの刻韻町立刻韻高等学校に入学してもうそろそろ5ヶ月も経つんだ、担任の性格も多少は分かってきてるつもりだ。
能登先生は正義感に溢れているが少々面倒な先生だ。
基本的にはいい人だけど頑固って言うか、自分の意思を曲げないって言うか。
折角、容姿は良いのにな。
独身の理由が時々垣間見えますね。
そんな先生に文字通り背中を押されて生徒会室に入室する
そこには。
名前も分からない美少女がいて。
見惚れてしまっていた。
僕は入室して直ぐに視界に入った、目の前の椅子に腰を掛けている美少女から目が離せなかった。
何者をも近寄らせない様なオーラ。
気の強そうな目。
大人びて、しかし幼さも残した整った顔。
黒……というより闇と形容するのが正しいであろう闇色の長い髪の毛。
スラリと伸びた綺麗な足。
若干赤みがかった目。
そんな美少女の背後にある窓から差し込む、だんだんと夕日に近寄ってきた陽射しが、その綺麗な髪の毛を照らし、幻想的な情景を創り出していた。
「………」
美しすぎて声も出なかった。
しかし、
「おいどうした夢ヶ崎。 はやく中に入れ」
そう言いながら後ろから押されたので、僕は押された勢いで少しふらつきながら生徒会室の中に入っていった。
中に入ってよく見ると、予想していた生徒会室と大分違った。
教室の半分くらいの大きさの部屋に長机が1つとパイプ椅子が向かい合わせに二組、つまり4つ置いてあるだけだ。
前述の美少女はそこのパイプ椅子に座り、こちらを気にした風もなく読書を続けていた。
そんな姿も様になってるな、と美少女観察をしていると、おもむろに彼女が口を開いた。
「先生。 ノックをしてくださいと頼んだ筈ですが」
彼女はそう言いながら少し眉を潜めた。
それに対して、先生は少し申し訳なさそうな顔をして両手を胸の前で合わせると
「あ……、 完全に忘れてたよ、悪いな、こいつが例のやつだ、後は頼むぞ。」
と一息に言い、廊下に戻り、扉を閉め、歩き去ってしまった。
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