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良く晴れた月曜日の朝、教室のど真ん中に位置する一つの机を四人の少年が囲んでいた。あどけなさの中に、大人の階段を上っている途中のような雰囲気を感じる顔つきだ。
朝早くからたむろする四人を見て、「またやってるよ」と、早めの登校をした女子生徒はため息まじりにぼやいた。しかしその声は少年たちの耳には入らない。皆、机の中央に真剣なまなざしを送っている。
四人が囲む机の上には一つのルーレットが置かれていた。一から四までの数字しかない、良くできた手作りルーレットだ。銀色の折り紙等で、装飾が施されていた跡がある。
「いくよぃ」
タカミツ(愛称”みっちゃん”)はルーレットを人差し指と親指でつまみ、右方向に捻った。快音を立ててルーレットが勢いよく回る。回転が早すぎて数字も見えないが、四人は食い入るようにルーレットを見つめていた。やがてルーレットは速度を落とし、回転する数字を目で確認できるようになる。四人の生唾を飲み込む音が聞こえた。
ルーレットの針は、ゆっくりと『4』を指した。
窓から拭きぬける風がタカミツの長い前髪を揺らした。
「四時間目か……よっちゃん今日の給食なに?」
ヨシオは教室の隅の掲示板に張ってある『今月の献立表』を見に走った。
「今日の給食は……」
教室にただならぬ緊張が走る。
「ごはん」
「いや、そりゃそこは言わなくて良いよ!」
たまらずタケシが机を叩いた。。リーダー格の短髪の男だ。机を勢いよく叩くというツッコミから彼の豪快さが伺える。
ヨシオはぺろんと舌を出して不細工に顔を歪め、気を取り直して再度給食を読み上げる。
「牛乳……」
一瞬の沈黙が教室を包んだ。やがてタケシが怒りに顔を赤く染める。
「メインディッシュ! メインディッシュ言えや!」
激昂するタケシをよそにヨシオは再び舌をぺろんと出して後頭部をさすった。
ヨシオが中々メインディッシュを言わないため、タケシは机を飛び越えて献立表に走った。そして献立表を見たその瞬間、腰を抜かして振り返る。
「お、おいお前ら! これ見ろ!」
尋常ならざらぬタケシの表情を見て、全員が献立表の前に集まる。献立表を見て、タカミツとサトシは歓喜の声を上げた。
「と、若鶏のから揚げ!」
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