プロローグ

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若鶏のから揚げ――それは学校給食において最高のオカズ。    鶏のから揚げと言おうとしたが、即座に『若鶏のから揚げ』と言いなおしたことからも、から揚げがどれほど少年たちの心躍らせるものかが分かる。    しかし歓喜の声を上げた直後に、四人の間には重苦しい空気が流れる。    ルーレットが指した数字は四。そして、今日のメインディッシュはから揚げ。これは、今日の戦いが熾烈を極めることを意味していた。    「から揚げは一人二個……つまり勝てば……から揚げ八個」    サトシが言った。すでに閉まらない口からはよだれが垂れている。    「どうする? 二人のチーム戦にするかぃ? それでも一人四つだよぃ」    タカミツは口角を上げて言った。当然、他の三人がそれに乗るはずがないことくらい分かっている。    「愚問だな。八個と四個じゃど偉い違いじゃねぇか」    タケシは腕組みしながら言った。全員、同意見の様に見える。    「勝負は四時間目。準備、怠っちゃいけねぇよぃ」    タカミツの言葉と同時に、四人は背を向けた。   四人の声が重なる。  『から揚げは、俺の物だ』
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