0人が本棚に入れています
本棚に追加
若鶏のから揚げ――それは学校給食において最高のオカズ。
鶏のから揚げと言おうとしたが、即座に『若鶏のから揚げ』と言いなおしたことからも、から揚げがどれほど少年たちの心躍らせるものかが分かる。
しかし歓喜の声を上げた直後に、四人の間には重苦しい空気が流れる。
ルーレットが指した数字は四。そして、今日のメインディッシュはから揚げ。これは、今日の戦いが熾烈を極めることを意味していた。
「から揚げは一人二個……つまり勝てば……から揚げ八個」
サトシが言った。すでに閉まらない口からはよだれが垂れている。
「どうする? 二人のチーム戦にするかぃ? それでも一人四つだよぃ」
タカミツは口角を上げて言った。当然、他の三人がそれに乗るはずがないことくらい分かっている。
「愚問だな。八個と四個じゃど偉い違いじゃねぇか」
タケシは腕組みしながら言った。全員、同意見の様に見える。
「勝負は四時間目。準備、怠っちゃいけねぇよぃ」
タカミツの言葉と同時に、四人は背を向けた。
四人の声が重なる。
『から揚げは、俺の物だ』
最初のコメントを投稿しよう!