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毎週月曜日に行われるこの戦い。個人戦は今までで九回行われているが、そのうちの四回はタケシが勝利している。タカミツの勝利は二回。サトシはタカミツと同じ二回で、ヨシオは一回だった。やはり運動神経に優れるタケシは圧倒的に強い。
「運動神経じゃ勝てるはずないねぃ……でもから揚げかぁ~」
タカミツは人差し指でこめかみを突きながら、独り言を言っていた。はたから見ればかなり気味が悪い。
「運動神経か……」
タカミツはグラウンドを駆け回るタケシを見つめた。とにかくどんなスポーツでもこなすタケシは、持ち前のリーダーシップも合わさり、大概の競技でクラスメイトを率いている。イベントや学校行事でも常に中心にいる男だ。人の上に立つ資質のようなものを生まれながらにして持っていると言っても過言ではない。
「逆サイ! 走れ、裏! 裏いけ裏!」
反対側のゴール付近に立っていても、タケシの声は聞こえてくる。スポーツを全くしないタカミツは、タケシの口から飛び出す言葉の意味は分からないが、なんとなくタケシが指示しているのだろうと言うのは理解できた。そしてタケシの口から出る言葉を、タカミツは無意識に復唱していた。
「逆サイ、裏…………裏?」
タカミツはハッとした。運動能力では歯が立たないタカミツが、から揚げを掴み取る手段。
「裏をかけって言うことかよぃ。ルールの裏を……」
タカミツはジャージのケツポケットから、小さなメモ帳とシャーペンを取り出した。メモ帳にはこの戦いのルールの全てが記されている。
タカミツは全て暗記しているはずのルールをもう一度確認し始めた。
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