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気を取り直して再びインターホンの前に戻る。
「全く……番号は408だ」
「サンキュー」
オイラはあおばが言った番号を入力した。すると、
『…………あぁ? んだてめぇら』
今度はドスの効いた男の声が聞こえてきた。
「……あおば、今のはどこのヤンキーの自宅の番号だ?」
「お、おかしいな……」
また部屋を間違えたかと思ったが、次の一言で全部理解できた。
『さてはてめーらか。きっかを泣かせたのは』
「え……?」
『今きっかが泣きながら帰って来たんだよ。何があったか訊いても答えちゃくれねえ』
オイラとあおばは顔を何度も見合わせた。
『……その様子で答えは十分だ。そこから動くな!』
最悪な予感が頭を駆け巡り、オイラはうろたえた。
「や、やべえ逃げろ! きっかの兄貴が来る!」
「ま、待てつくね! 事情を話せば許して貰える!」
「話す前にボコられるつーの!」
「きっかに謝るんだろ!?」
あおばの言葉に、今にも逃げ出そうと足踏みする足がピタリと止まった。
……そうだった。
オイラここに、きっかに謝りに来たんだ。
ここで逃げちゃ、男が廃るぜ!
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