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「つくね、随分と遅かったな」
「居残り勉強させられてたんだよ。ちゃんと宿題やって来なかった罰だってな」
「何? 宿題ならオレのを全部写したではないか」
「きっかの奴がその事を榊先生にチクりやがったんだよ! それでオイラ放課後残ってやり直しさせられるハメになったんだぞ! しかもこれから先もずーっとだ!」
と、威嚇するようにきっかを睨みつけるつくね。
そう言やコイツ、夏休みの宿題を最後の一日で全部やろうとしてたんだったな。(てかサボり続けて必然的にそうなっただけだが)
だけどその日、あおばが失踪して宿題どころではなくなってしまった。
無事、あおばが見つかったのは日が暮れた後で、それから急いで帰ってあおばの宿題を徹夜して写したようだ。(目の下の隈がそれを物語っている)
そんなつくねに、きっかは何食わぬ顔で言ってみせた。
「だって人のを写すのはズルだもん。ズルしちゃいけないんだよ」
「ズルでも何でも期限内にやったんだからいーだろ!」
「榊先生が宿題は自分の力でやりましょうって言ってたもん!」
「いつ!? どこで!? 何時何分何秒地球何周回った時だ!?」
「き、きっかだってあの時人のを写すのはよくないよって言ったもん!」
「かーっ! わかんねー奴だな! あの時は緊急事態だったんだからあーするしか仕方なかったんだ! つーかお前は事情がわかってんだから少しは大目に見てくれたっていーだろ!」
なんだその目茶苦茶な言い分は。そもそもお前はあおばが家出しなかったら自力で全部やっていたのか? ……俺に助けを求めてきた時点でそれは否だな。
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