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「つくね君……」
その声に、伏せていた顔を上げた。
オイラの目の前に、きっかがいた。
「き、きっか! お前は出て来なくていい! また嫌な思いをしたら--」
「お兄ちゃんは関係無いから黙ってて!」
と、ハッキリ言われたきっかの兄貴はその場にヨロヨロとへたり込み、激しく落ち込んだ。
「よ゛……。やっど、ぎごえだが……」
「ホントはもっと前から聞こえてたよ。でも、恥ずかしくて出て行けなかったの」
あー……また悪い事しちまった……。
「ぎっが、ずばねえ。ヴォイラだぢ、どぼだぢだのに……」
「ううん! きっかも乱暴しちゃってごめんなさい! あと、嫌いだなんて言っちゃって……」
「ぎにしでねぇょ」
フッ、と微笑むきっか。オイラもニッと笑ってみせる。
「つくね君、約束」
そう言って、きっかは小指を突き立てた。
「これからはちゃんと宿題やってね。解らないとこは教えてあげるから!」
「あ゛ぁ、だのむ……」
「それと悪い事したらちゃんと謝るんだよ」
「お゛ぅ」
オイラも小指を立て、きっかの小指に絡めた。
「ゆ~びきりげんまん、嘘ついたら針千本の~ますっ。指きった!」
もう針飲んだ後みてえに咽も胸も痛てえけどな。
だからこそ、約束できる。こんな痛い思いは二度とゴメンだ。
なんて思ってたら、きっかは俺の手を取った。
「それじゃさっそく、謝りに行こっ」
「…………え゛。どごへ?」
「ご近所さんひとりひとりのとこ。おっきな声出してみんな驚いたと思うからごめんなさい言いに行こっ!」
「…………がんべんじで……。もぅ、こぇ、でねぇ……」
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