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そんな時、いつもチャランポランな銀時が真剣な……何かを考えているような表情をしていたからか、新八が心配そうに声をかけてきた。
「銀さん!?どうかしたんですか!?
いきなり座り込んで!?
体調でも悪いんですか!?
………って、あれっ?
銀さんそんな物持ってましたっけ??」
いつもの新八の声。
しかし、なんだか久々に聞いたような気がした。
怪我もなく、健康そのものの姿。
銀時は顔をあげて、もう一度周りを見回してみる。
自分に声をかけてきた新八。
心配そうにこちらを見ている神楽。
アクビをする定春。←
不思議そうにこちらを見る依頼人。
(生きてる…皆、元気だ…)
気づいたら、銀時の頬には涙が伝っていた。
ここまで弱った銀時を見たことがない新八は日記帳から目を戻し、さらに心配そうに銀時の顔を覗きこむ。これには神楽も驚きだ。
「ぎぎぎぎ…銀さん!?
どどどどうしたんですか!?」
今まで銀時が泣くという事がなかった分、新八はどうしたものかと悩んでいた。
すると定春が銀時の落ち着かせるように頬を伝う涙を舐めとる。
そして神楽は銀時のプライドを考え依頼人を外に出す。
依頼人もわかる人で「詳しい内容はファックスで送ります。」とだけ言って帰っていった。
その後、万事屋の居間で「どうしたものか」と途方にくれる新八と神楽。
そんな中、何事かとお登勢が駆け付けた。
「新八?こりぁ、どういうことだい??」
「う…いや…
それがですね………」
新八に聞いても、館内での事はおろか、あの銀時が泣いてる理由すらも分からない。
珍しく焦る新八。
そんな反応を見て、ため息をつくお登勢。
しかし今はとりあえず銀時を落ち着かせる事を優先した。
お登勢は綺麗に畳まれたハンカチをそっと銀時に差し出す。
「銀時。
何があったか知らないが、とりあいずコレを使いな。」
銀時はそのハンカチを受け取る。
そして、ただただ願った。
(今度こそ、この幸せが壊れませんように……
ただテメェらに生きてて欲しい……
俺の願いはただそれだけだから……)
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